突然!ネタばれしても委員会
第2回
『ぼくのエリ 200歳の少女』と『モールス』
ここはネタばれオンリーのコーナーです。
これから観ようという方は、観てから読んでください。
『ぼくのエリ 200歳の少女』
2008年度作品
配給:ショウゲート
Lat den ratte komma in [La゜t den ra¨tte komma in] / Let the Right One in
115分
スタッフ
監督:トーマス・アルフレッドソン
原作・脚本:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストJohn Ajvide Lindqvist『モールス』
キャスト
オスカー カーレ・ヘーデブラント
エリ リーナ・レアンデション
『モールス』
2010年度作品
配給:アスミック
Let Me In
116分
スタッフ
監督&脚本:マット・リーヴス
原作・脚本:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストJohn Ajvide Lindqvist『モールス』
撮影:グレッグ・フレイザー
音楽:マイケル・ジアッキ
キャスト
オーウェン コディ・スミット=マクフィー
アビー クロエ・グレース・モレッツ
男 リチャード・ジェンキンス
警官 イライアス・コティーズ
『ぼくのエリ 200歳の少女』を観たのは去年の10月です。原作は読んでいま
せん。
映画の中ほどでオスカー少年の先行きが見えた。じいさんと同じ運命をたどる。結
末は予想通りだったが、つい最近、そうではなかったことが判明した。『モールス』
を観たとき、細部に至るまで『ぼくのエリ』とほとんど同じと思ったのも、間違って
たことになる。
原作ではエリ(吸血鬼)は少年であり、本当の名はエリアス。エリザベスではない
のです。つき従う老人は元少年ではなく、少年愛嗜好者の元教師。『ぼくのエリ』で
はその背景をすべて省略している。
少年と少女の恋物語がリフレインされているわけじゃなかった。なぜそういう設定
でなければならなかったのかは、読んでないからわからない。
『ぼくのエリ』でエリが男であることを示すシーンは、着替えるときに裸になる場
面ぐらい。映倫がこのシーンを通させなかった。配給会社は性器にボカシを入れざる
をえなかった。これにより、話の設定そのものが変わってしまい、オスカーの狼狽は、
たんに裸をいきなり見てうろたえた、ということになってしまった。
『モールス』ではアビーの裸のシーンはない。男だと明確に示すシーンはなく、女
の子として描かれている。そのほうがいいんじゃないか。少年と少女の恋と変質がく
り返される。そういう設定のほうが切なさが浮き上がってくる。
『モールス』は細部の映像にまで神経が行き届いていて、個人的には今年のベスト
テンの一本です。ただ、クロエ・グレース・モレッツのキャラがアビーとどうしても
重ならない。モレッツは翳りのある少女より、シニカルで明解でパワフルな女の子、
というイメージがありすぎるようです。
2011.8.25 |