突然!ネタばれしても委員会

第13回

『プリデスティネーション』



プリデスティネーション


 ここはネタばれオンリーのコーナーです。
これから観る方は、観てから読んでくださいね。

『プリデスティネーション』
2014年度作品 監督:スピエリッグ兄弟(マイケル・スピエリッグ&ピーター・スピエリッグ) 原題:Predestination 原作:ロバート・A・ハインライン『輪廻の蛇(All You Zombies)』 配役:イーサン・ホーク、サラ・スヌーク、ノア・テイラー 配給:プレシディオ


 かなりトンデモなストーリーです。そのことは順を追って説明します。究極の ネタバレ厳禁映画ですから、観るつもりの方は観てからこのあとを読むこと。  この映画はジョン・ドゥを演じるサラ・スヌークを見るだけでも一見の価値が あります。ジョンがバーテンダー(イーサン・ホーク)に来歴をじっくり語る部 分が面白い。後半、タイムマシンで近過去をうろちょろするようになると、話の 無理さに「今のちょっと待った」を連発してしまう。おまけに伏線的な話が連続 するので、先がどんどん見えてしまう。終盤の究極仰天設定すら仰天できなくな っている。  観てることを前提で書くのでストーリーの説明は省略。このトンデモ設定の最 たるものは、ジェーン・ドゥ(これもサラ・スヌーク)が、性転換して未来から やってきたジョン・ドゥ(自分自身)に恋をし、子供をもうけてしまうこと。赤 ん坊は誘拐され、時間を20年前にさかのぼって孤児院の前へ置かれ、ジェーン ・ドゥとして育てられる。  このへんで頭が混乱してくる人がいるにちがいない。ジェーン・ドゥが産んだ のは自分自身なのです。ジェーン・ドゥには先祖が存在しない。親はいる。母は 自分。父も自分。祖父や祖母は? あえて言うならば自分自身。  ジェーンは孤児院の前へ置き去りにされる以前の歴史がない。出生時点での永 久ループ。タイムパラドックスの違反の一例だが、映画を観てる間は気づかず、 ひたすら混乱する。  男として登場するサラ・スヌークの風貌が素晴らしい。陰のある顔。若くして 歴史を背負った顔だ。バーテンダーの話は重要だけど、書かなくていいよね。や やこしくなるだけだから。  原作タイトル、邦訳タイトルは問題ない。しかし映画原題はタイトルだけでネ タバレしてないか。「宿命」ですよ。読めてしまうじゃない。  ちなみにJohn Doe, Jane Doeは訴訟文書で使われる仮の名前のこと。たま に映画の役名で登場する。    2015.3.23




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