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Contents
 ・『ロビン・フッド』
 ・キネマ旬報ベストテンの予想
 ・CINEMAテーブル版下ソフト交替

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◎ 公開中の新作から……… 『ロビン・フッド』  2010年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:リドリー・スコット
 出演者:ラッセル・クロウ、ケイト・ブランシェット、マックス・フォン・シドウ、
     ウィリアム・ハート、マシュー・マクファディン
 配給:東宝東和

 予告篇見てツッコミまくり。「ロビン・フッド、戦ってるやん」「フランスが大軍
で英国ブリテン島を攻撃しとるで」

 伝承バラッドではロビン・フッドは戦いません。せいぜい腕試しの一騎打ち程度。
敵とは戦わない。しかもしばしば負ける。女性であるマリアンにも勝てない。ようす
るにあまり強くない。弓の腕前だけはスーパー級で、実力を見せるのは競技会のみ。

 この映画のロビン・フッドは十字軍に従軍してフランスへ行くが、伝承では従軍も
戦闘もなく、フランスへも行かない。

 12世紀前後の英仏小競り合いの舞台は大陸側のノルマンディーやブルターニュな
どです。フランス軍は英国に来ません。たぶん歴史上、フランスが英国を攻めたこと
はない。

 観る前はツッコミまくってたが、映画が始まるとのめりこむ。映像の厚みが素晴ら
しく、目が釘付け。リアルな映画空間にすんなり入ってしまった。圧制や不正義に徹
底抗戦するというストレートなストーリーに、ラッセル・クロウもケイト・ブランシ
ェットもよく似合っている。

 伝承とも歴史ともくいちがってるが、根本から新たな伝説を作りだそうという意気
込みを感じ、感動してしまった。これは『キング・アーサー』を観たときにも感じた
ことです。

 ロビン・フッド伝承の本来の味であるコミカルなタッチは、目立たないが随所に入
れ込んである。反骨精神を込めたラスト近くのシーンは、本来のロビン・フッドらし
い軽みがあって、笑いを誘う。


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◎ こういうのを観たい、かも、という映画
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 年内はもう目ぼしい映画がなくなってしまったので、心はすでに2011年。

『ザ・タウン』
 2月5日全国公開 2010年度作品  監督:ベン・アフレック
   出演:ベン・アフレック、レベッカ・ホール、ジョン・ハム、ブレイク・ライ
      ヴリー、ジェレミー・レナー、ほか
   配給:ワーナー

 評価が高い。予告篇もGood! 最近ぱっとしなかったベン・アフレックは株を
あげたようだ。


『森崎書店の日々』
 1月2日京都公開 2010年度作品  監督:日向朝子  原作:八木沢里志
   出演:菊池亜希子、吉沢悠、岩松了、田中麗奈、内藤剛志、ほか
   配給:ファントム・フィルム

  ほっこりしてしまいそうな雰囲気なんですが、『マザーウォーター』などのような
 無内容な映画では絶対ない。


『海炭市叙景』
 1月8日京都公開 2010年度作品  監督:熊切和嘉  原作:佐藤泰志
   出演:谷村美月、竹原ピストル、加瀬亮、小林薫、南果歩、あがた森魚、村上
      淳、ほか
   配給:スローラーナー、シネマアイリス

 心待ちにしてた映画。谷村美月にあまり外れがないという信頼感もあって。


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◎ 映画雑話………  キネマ旬報ベストテンの予想
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 映画賞やベストテンの季節です。キネマ旬報は歴史も古く、なじみもあるので予想
を立てやすい。外国映画は不確定要素が多いので日本映画だけ予想してみます。個人
的評価は無関係。

 1位は『悪人』(監督:李相日、配給:東宝)か『キャタピラー』(監督:若松孝
二、配給:若松プロ)。どちらも海外の映画祭で主演女優賞を獲得しました。そうし
た権威付けが評価の流れを作ってしまうということはありえます。

 テン入りが確実なのは『十三人の刺客』(監督:三池崇史、配給:東宝)『告白』
(監督:中島哲也、配給:東宝、『カラフル』(監督:原恵一、配給:東宝)『おと
うと』(監督:山田洋次、配給:松竹)。

 やたら東宝配給が多い。これでもし『借りぐらしのアリエッティ』(監督:米林宏
昌、配給:東宝)が入ると、東宝がベストテンの半数を占めるという珍しい事態にな
る。近年の東宝は、もうかるように計算された映画ばかりで内容そっちのけの地雷原
でしたが、一部の映画で方向転換を模索しています。世間体を気にしたのか、あるい
は金もうけ映画ばかりではいずれ観客に見放されると危機感を抱いたのか。東宝配給
でそれ以外にテン入り可能性あるものはゼロです。

 ベストテンの下位に入る候補作は多いのでタイトルだけ列挙します。上記以外で確
実に入ると予想できる映画はないのです。

 『パーマネント野ばら』『ヘヴンズ・ストーリー』『最後の忠臣蔵』『トロッコ』
『ゲゲゲの女房』『海炭市叙景』『武士の家計簿』『必死剣 鳥刺し』『孤高のメス』
『川の底からこんにちは』

 他にも挙げてみたい映画はいくつかあるけど、きりないので止めます。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 CINEMAテーブルの版下用ソフトにMacの付属ソフトを使ってましたが、不
具合が多く生じるのでやめにしました。かわりのソフトを捜してあれこれ試してみて、
OpenOfficeというやつが用途に合いそうだとわかりました。

 これはMacのソフトより使い勝手がよさそうです。ページの体裁も少し変わるか
もしれません。この機会によりよくなるよう改善を加えたいものです。

 今回のCINEMAテーブル、編集・版下・印刷・製本の各段階で不手際がありま
した。申し訳ないとしか言いようがありません。


「長岡京市の裏百景」12.12「竹間月(竹林の三日月)」
「ハーメルンの会」12.12 バンビオ「ライブ缶」参加
「長岡京市の裏百景」11.28「西山南部エリアのハイキングルート」
「じべたでひろたもん」11.25「サツマイモ」
「アイリッシュトラッドの世界」11.24 新規
「歩きMap」11.19「八幡市の男山コース」
「長岡京市の裏百景」11.13「清一郎弘安自転車単車預り所」
「出版案内ページ」11.13 CINEMAテーブル発行
「長岡京市の裏百景」10.26「長岡京版 奥の細道」
「壁紙ギャラリー」10.20「エスニック」
「サイト内の全アイテムのインデックス」10.9 新規
「新曲のページ」9.23『モリサンズ・ジグ』改訂版

『その街のこども』‥‥‥‥‥‥ええなあ、この二人のコンビって
『セラフィーヌの庭』‥身につまされるリアルなアーティスト世界
『ロビン・フッド』‥‥‥‥‥‥‥リアルな時代劇を堪能しました
『黒く濁る村』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥長すぎて話の腰がふらつく
『パラノーマル・アクティビティ第2章』ホラー映画の隠れた秀作
『行きずりの街』‥‥‥‥‥‥‥‥‥期待せずに観ればそれなりに
『ラスト・ソルジャー』‥‥‥J・チェンのプロ根性の見える秀作
『クロッシング』‥‥‥‥‥‥‥‥傑作!だけど、個人的趣味かも
『ミレニアム3』‥‥‥‥‥‥‥‥‥ラストきちんと片づきすぎる
『ミレニアム2』‥‥‥‥‥‥‥‥このシリーズのテイストは好き
『メッセージ そして、愛が残る』‥‥一つの話を引っ張りすぎる
『バード★シット』‥‥‥‥‥‥むちゃくちゃな映画ながら面白い
『ハロルドとモード』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥印象に残らない
『ザ・ロード』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥シビアすぎて娯楽性なさすぎ
このあとは『ゲゲゲの女房』に期待
 

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Contents
 ・『パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT』
 ・「気がめいる陰うつな映画30本」
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◎ 公開中の新作から……『パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT』
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 2010年度作品
 監督:長江俊和
 出演者:中村蒼/青山倫子/吉谷彩子/鯨井康介/守永真彩/山田登是/松林慎司
    /津村和幸
 配給:プレシディオ

 観る予定ではなかったが、なんだかそそられるものを感じてしまって・・。といって
も、『行きずりの街』で満足してたらそこで帰っていた。不満足だったからこそ観ら
れた。予備がアタリということはしばしばある。

 これは米国の低予算ホラーの続編、というよりリメイクでしょう。米国のは製作費
が135万円だというから、相当にひどい代物だったろうと思う(観てない)。こち
らは最初からロードショー公開を前提として作られてるので細部がかなりしっかりし
ている。

 寝てる間に起こる超常現象をビデオで撮りました、というお話です。全編ビデオ映
像の疑似ドキュメンタリのホラー。現象を引き起こしてる正体は何なのか。

 最初に、ある家に残されたビデオ映像であることが語られる。そんなら、なんでそ
んな位置にカメラがある?とか、カメラは何台あるんかとかというツッコミは観てる
間にも次々出るが、さほど気にならない。演技と演出がしっかりしてるからだろう。

 足を複雑骨折した美形の姉(青山倫子)と、家事を受け持つ大学生の弟(中村蒼)
の、ほどほどに抜けたやりとりがリアルで演技に見えない。この二人の微妙な関係が
不思議なムードを醸し出して、面白い空気感をもたらしている。

 しかしこの映画、怖いんだろうか。目は釘付けで緊迫感はあるけど、どうもホラー
慣れしてしまったせいか、怖さをまるで感じ取れなかった。しかし読者が観るときは
「怖くない」というの、真に受けないほうがいいと思う。


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◎ 映画雑話……… 「気がめいる陰うつな映画30本」
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 表題のような企画で英国の映画雑誌TOTAL FILMが選出したんだそうな。『ブレア
・ウィッチ・プロジェクト』みたいなゲス映画を集めたのかと思いきや、世界のベス
ト映画選集と見まがうようなラインナップで唖然とした。

 トップは『レクイエム・フォー・ドリーム』(ダーレン・アロノフスキー監督)。
以下、主だった作品は、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ミスト』『ヴェラ・ドレ
イク』『ソフィーの選択』『ケス』『エレファント・マン』『ナイロビの蜂』『ホテ
ル・ルワンダ』『ミリオンダラー・ベイビー』『キリング・フィールド』『パッショ
ン』『カッコーの巣の上で』『叫びとささやき』『チャイナタウン』。日本映画(と
いうよりアジア映画)は1本だけ挙がっている。『火垂るの墓』(高畑勲)が17位。
エンパイア誌の同趣旨のランキングでは6位だと。

 すべての映画が悲劇的な内容を含んでいる。これは英国だが、米国人と同じように
ハッピーエンド以外は嫌いなのかと言いたくなる。『火垂るの墓』の場合、加害者視
点で見てるんじゃないかと邪推してしまう。かなりむかつきました。

 元の英語は"Most Depressing Movies"。訳が間違ってるわけではありません。どう
考えてもこのリスト、必見映画リストだよね!


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◎ これは期待しすぎたらヤバいかも、という映画
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 10月以降、新作がやけに薄くなりました。サブプライムローンの破たんに端を発
した世界経済の変調で、資金が集まりにくくなったとか。その影響が表れるのがこの
秋だ、という話をどこかで読みました。ほんとにそのせいかな?


『ゲゲゲの女房』
 12月4日全国公開 2010年度作品  監督:鈴木卓爾  原作:武良布枝
   出演:吹石一恵、宮藤官九郎、坂井真紀、村上淳、宮崎将、柄本佑、平岩紙、
      唯野未歩子、南果歩、ほか
   配給:ファントム・フィルム

 今年の期待の一本。この主演コンビ、最高ですね。吹石一恵が日本の若手女優の代
表格の一人に成長することは、デビュー当時まったく予想できませんでした。



『キック・アス』
 2月5日全国公開予定 2010年度作品  監督:マシュー・ヴォーン
   出演:アーロン・ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、クリストファー
      ・ミンツ=プラッセ、ニコラス・ケイジほか
   配給:カルチュア・パブリッシャーズ

 かなり先になるんですが、今いちばん期待してるのが、これ。チラシ見てビビビと
電流が走り、ネットで予告篇見て興奮しました。米国製のB級映画で、ヒーローもの
のアクション映画です。コミックスの映画化ではなさそう。一見とんでもなくマイナ
ーっぽいです。
 モレッツは『ぼくのエリ 200歳の少女』の米国リメイク版でヒロインやってま
すが、それも日本に来るかどうか怪しい。それはともかくとして、注目女優です。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 一か月半、メルマガを発行してないので、ここらでという感じの発行でした。

 CINEMAテーブルを発行済で、おおかたの人の手元にはすでに渡ってるかと思
います。完成は新記録というほどに早かったのですが、よく見ると随所に雑なところ
があります。版下、印刷、製本の各段階に問題がありました。

 版下のソフトは変えなくちゃなりません。印刷も別のところの印刷機を使おうかと
思います。ソフトと機械だけに責任を押しつけてはいけません。もうちょっと緻密な
編集が必要だ。


「アイリッシュトラッドの世界」11.24 新規
「歩きMap」11.19「八幡市の男山コース」
「長岡京市の裏百景」11.13「清一郎弘安自転車単車預り所」
「出版案内ページ」11.13 CINEMAテーブル発行
「ハーメルンの会」11.3 まちづくりフェスティバルのライブ、成功
「長岡京市の裏百景」10.26「長岡京版 奥の細道」
「壁紙ギャラリー」10/20「エスニック」
「サイト内の全アイテムのインデックス」10.9 新規
「新曲のページ」9.23『モリサンズ・ジグ』改訂版

『パラノーマル・アクティビティ第2章』ホラー映画の隠れた秀作
『行きずりの街』‥‥‥‥‥‥‥‥‥期待せずに観ればそれなりに
『ラスト・ソルジャー』‥‥‥J・チェンのプロ根性の見える秀作
『クロッシング』‥‥‥‥‥‥‥‥傑作!だけど、個人的趣味かも
『ミレニアム3』‥‥‥‥‥‥‥‥‥ラストきちんと片づきすぎる
『ミレニアム2』‥‥‥‥‥‥‥‥このシリーズのテイストは好き
『メッセージ そして、愛が残る』‥‥一つの話を引っ張りすぎる
『バード★シット』‥‥‥‥‥‥むちゃくちゃな映画ながら面白い
『ハロルドとモード』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥印象に残らない
『ザ・ロード』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥シビアすぎて娯楽性なさすぎ
『乱暴と待機』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥危なすぎヤバすぎ
『ぼくのエリ 200歳の少女』‥‥‥‥‥‥‥‥‥結末読めすぎ
『闇の列車、光の旅』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥シビアな秀作でした
『スープ・オペラ』‥‥‥‥‥‥‥どっぷりミニシアターテイスト
『おにいちゃんのハナビ』‥‥きっちり泣かされてしまった、脱帽
『十三人の刺客』‥‥‥リメイク前の前作を超えたかどうか、微妙
このあとは『ゲゲゲの女房』に期待
 

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Contents
 ・『十三人の刺客』
 ・KYなJポップ
 ・見分けのつかない俳優
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◎ 公開中の新作から……… 『十三人の刺客』  2010年度作品
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 監督:三池崇史
 出演者:役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、谷村美月、吹石一恵、岸部一徳、内野
     聖陽、古田新太、高岡蒼甫、六角精児、波岡一喜、伊原剛志、松方弘樹、
     松本幸四郎、稲垣吾郎、市村正親、平幹二朗、光石研、ほか
 配給:東宝

 米国アカデミー賞外国語部門に日本からノミネートに出すのが『告白』だと。なん
で『十三人の刺客』にしなかったのか。あちらでは受ける映画を持ってかないといけ
ない。

 1963年に東映が制作したオリジナルものの復讐劇を東宝がリメイクしています。
元の話が面白いので、きっちり映画化すれば確実に面白くなります。


 アウトラインを簡単に紹介。残忍な明石藩主を暗殺する指令が下され、十三人の刺
客が罠をかけて参勤交代の一行ともども皆殺しにする。内容に関して事前に知ってお
くのはこれだけで十分。

 概ね前作通りですが、策略で明石藩一行が分断され、前作では53人斬っただけで
したが、新作では300人以上にふくれ上がりました。あまり多いとリアリティに欠
けるんじゃないかと心配しましたが、今の感覚ではこれぐらいのスケール感がちょう
どいいかも。

 それぞれの役者がいい顔をしていて魅力的です。いい映画に仕上がったが、細かい
部分では不満点がいろいろ出ました。いちばん残念だったのは、罠にはめられた明石
藩一行の狼狽や恐怖感が出なかったこと。パニックになって規律が乱れてしかるべき
部分だった。

 東映版はモノクロでしたが、リアルさにおいて優ってたと記憶します。予備知識が
ゼロだったこともあって、クライマックスの凄惨なシーンでは足の震えが止まりませ
んでした。そうしたリアルな恐怖感があればと思ったのですが。

 予備知識は少ないほうがいい。今は情報過多で、事前に知りすぎる。試写会で先に
観たメルマガ発行者が語りすぎ。生き残るのが何人で、誰かということを、観る前す
でに知ってました。いいかげんにしろよと言いたくなる。


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◎ これは(個人的に)必見、という映画
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 9月は観たいのが少なくて暇でしたが、10月は忙しそうです。10月16日京都
公開が重なりました。『メッセージ そして、愛が残る』も同日公開です。9日公開
は3本。一気集中(個人レヴェルで)。

『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』
 10月16日京都公開 1971年度作品(リバイバル)
   監督:ハル・アシュビー
   出演:バッド・コート、ルース・ゴードン、ほか
   配給:日本スカイウェイ、アダンソニア

 老女(ルース・ゴードン、『ローズマリーの赤ちゃん』の怪しい隣人)と少年との
恋物語。昔のアメリカン・ニューシネマは稚拙さを感じるかもしれないが、何かしら
鮮烈なものがある気がして、外せない。


『BIRD★SHTバードシット』
 10月16日京都公開 1970年度作品(リバイバル)
   監督:ロバート・アルトマン
   出演:バッド・コート、シェリー・デュヴァル、サリー・ケラーマン、ステイ
      シー・キーチ、ほか
   配給:日本スカイウェイ、アダンソニア

 これもアメリカン・ニューシネマ。長いこと観るのを心待ちにしていた一本です。
今初めて主演の少年が同じなのに気がつきました。シェリー・デュヴァルのキャラが
とんでもなく面白そうです。


『ザ・ロード』
 10月16日京都公開 2009年度作品  監督:ジョン・ヒルコート
   原作:コーマック・マッカーシー
   出演:ヴィゴ・モーテンセン、ほか
   配給:ブロードメディア・スタジオ

 文明崩壊後の地球という設定はありきたりながら、一本筋の通った強いものを感じ
させます。


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◎ 映画雑話………  KYなJポップ Drowsy J-POP
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 日本映画は最後に主題歌が入るのが何割かある。内容にマッチしてればいいが、エ
ンドまで上り詰めたテンションをぶち壊す乱暴な歌が流れてくる場合がある。日本映
画の致命的な欠陥になりつつあるのではないかと危惧しています。

 とりわけひどいのがJポップと総称される類の歌。まるで映画の空気が読めてない
かのよう。たらたらー。ゆるゆるー。やる気のない曲想と、力のない歌唱。予告篇で
使用を確認したら、基本的にパス。知らずに観て地雷を踏むことはある。

 なぜこのジャンルの歌が若い層に好まれているのかは知らない。この状況が変わら
ないかぎり、問題は解消されないだろう。飽きられて消滅するのを待つばかり。

 なくならないと思われた歌謡曲はずいぶん前にほぼ絶滅した。歌謡曲が嫌いだった
わけじゃない。だらけたJポップは永久に好きにならないと思う。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 見分けのつかない俳優
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 9月12日にCINEMAテーブルのダベリングパーティをやりました。そのとき
に出た話題で、「○○と○○が見分けつかない」というのがあって、ちょっと盛り上
がりました。面白いことに、一人ひとり見分けつかないペアが違うんですよ。他の人
にとっては「ええーっ!!どこが似てる??」という反応があったりして、不思議で
す。

 出た俳優の名前はうろ覚えです。メモをとっとけばよかった。新垣結衣と綾瀬はる
かは覚えてる。中谷美紀と似てるというのは菅野美穂だったっけ?(違いすぎるか)

 僕自身は中谷美紀と柴咲コウがごっちゃになってた時期がありましたし、菅野美穂
と関めぐみを混同してました。他の人から見たら「どこが?」と言われるでしょうね。
今は区別できてますけど。


「新曲のページ」9.23『モリサンズ・ジグ』改訂版
「ボツ画供養塔」9.23「蜂」
「長岡京市の裏百景」9.9 「長岡京市友岡地下道壁画・夢プロジェクト」
「新編図解辞典・大誤解」9.8 新データ追加
「出版案内ページ」9.8 ひょっこり通信発行
「ハーメルンの会」9.5 長岡京市バンビオホールでライブ決定
「船越屋の新製品紹介」9.3「ド忘れ単語辞典 iMikara」
「新曲のページ」9.1『性悪女 Wicked Woman』
「変神探訪」8.22「新京極の錦天満宮」

『十三人の刺客』‥‥‥リメイク前の前作を超えたかどうか、微妙
『瞳の奥の秘密』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上質のミステリーで大満足
『悪人』‥‥‥‥‥‥‥‥‥底辺の負け組たちの哀しい物語でした
『ゾンビランド』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥笑えるゾンビ映画
『トロッコ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥印象に残る美しい映画でした
『カラフル』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ファンタジーの秀作です
『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』‥‥これをシネコンでやる?
『ベストキッド』‥‥‥‥‥‥‥娯楽映画の鑑というべき秀作です
『インセプション』‥‥‥今年のベストです、観落とさないように
『エグザム』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥満足のサスペンスミステリー
『氷雪の門』‥‥‥‥‥‥出来はよくないが、公開の意義はあった
『私の優しくない先輩』‥‥‥‥‥‥‥‥‥好感度抜群の映画です
『川の底からこんにちは』‥‥‥‥‥‥‥微妙に外した笑いが秀逸
このあとは『ナイト・トーキョー・デイ』に期待
 

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Contents
 ・『インセプション』
 ・そのタイトルって、どうなんよ
 ・真夏のおまじない

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◎ 公開中の新作から……… 『インセプション』  2010年度作品
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 監督:クリストファー・ノーラン
 出演者:レオナルド・ディカプリオ、エレン・ペイジ、マリオン・コティヤール、
     渡辺謙、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、キリアン・マーフィー、マイ
     ケル・ケイン
 配給:ワーナー

 ついに今年の真打ちが登場。僕は日本公開27日目にしてようやく観れました。そ
れにしてもよく入ってますね。


 夢の中でターゲットに接触し、アイディアを盗み取ったり、ある考えを植えつけた
りする。そうした仕事を請け負う非合法グループを描くSFサスペンス。ストーリー
の面白さ、作品世界の斬新さ、映像の大胆な視覚表現、絶妙なキャスティング。すべ
てがからみあって成功している。

 潜入チームが夢世界で危機に陥ると、目覚めるのではなく、夢の中の夢へ潜り込ん
で突破口を見出そうとする。さらにその中の夢へと、どんどん深い層へ降りてゆく。
こうなってくると観る側のイマジネーションをはるかに超えてしまう。

 多重階層のそれぞれでサスペンスアクションが同時進行する。複雑なので、一瞬で
も目を離したらわけがわからなくなってしまいそう。難解ではない。わかるけど、複
雑。

 すごい映画が出てきたもんです。新世界を体験した、という感じ。この映画を観な
いという手はありません。ただ、あまりに複雑なので、すんなりと頭に入らない部分
が出ることはありうる。僕自身、わからなかった部分があります。細かいことは気に
してませんが。

 役者は厳選されて魅力的だけど、通好みなエレン・ペイジやジョゼフ・ゴードン=
レヴィットといった役者がうまく配役されてるのが嬉しい。


 ラストのカット、金属製の独楽が回り続けてるのを緊張しながら凝視しました。多
くの人が同じことを経験する(経験した)のではないかな。


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◎ これは興味津々ぜひとも、という映画
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『トロッコ』
 8月21日京都公開 2010年度作品  監督:川口浩史  原作:芥川龍之介
   出演:尾野真千子、ほか
   配給:ビタース・エンド

 芥川の原作を台湾で映画化。ブレイク真っ最中の尾野真千子を見るだけでも価値あ
りそう。



『闇の列車、光の旅』
 10月?日京都公開 2009年度作品  監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
   出演:パウリーナ・ガイタン、エドガー・フロレス、ほか
   配給:日活

 米国への不法入国をめざす少女の物語。じりじりしながら公開を待っている映画の
1本です。


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◎ 映画雑話……… そのタイトルって、どうなんよ
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『キャタピラー』 若松孝二自主配給
 戦争に絡む話で「キャタピラー」。戦車ではないんです。英語圏の人ならすんなり
わかる言葉でも、日本人はぴんとこないでしょう。イモムシですよ。


『ハナミズキ』 配給:東宝
 サブタイトルとして「君と好きな人が百年続きますように」というのがくっついて
いる。最終的にはカットすると思ったが、つけたまま公開するみたいだ。このサブタ
イトル、どういう意味なのかわかりません。考えれば考えるほどわからなくなる。意
味を考えながら読んでみてください。脳みそが腸捻転を引き起こしますよ。


『小さな命が呼ぶとき』 配給:ソニー
 難病の幼い娘を救うために製薬会社を作ったパパの実話だそうです。単にタイトル
見て、脱力感を覚えただけなんですけど・・。かわりにタイトル考えてあげましょか。
たった一人を救うためのドラマでしょ。『ひとりのために』ハイ、これでOK。ごち
ゃごちゃ考えすぎない。
 原題は"Extraordinary Measures"。「トンデモな手段」とでも訳すか。原題のほう
がまだまし。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 かなり久しぶりの配信となりました。

「馬勒もリアカーもなき下流村、代々苦しゅうて、どう煽ってもすっ転んじまうべな」

 さてこれはなんのおまじない文でしょうか。花火は火薬に薬剤を加えて発色させま
す。色と元素を対応させて覚えるために作られた文句です。7日、淀川花火大会を友
人宅のベランダで鑑賞していて思い出しました。

 馬勒(ばろく)   バリウム=緑
 リアカー      リチウム=赤
 なき        ナトリウム=黄色
 下流村       カリウム=紫
 代々苦しゅうて   オレンジ=カルシウム
 どう煽っても    銅=青
 すっ転んじまうべな ストロンチウム=紅

 少々苦しまぎれなのもあります。ヴァージョンは多々あるようです。これは僕が教
えてもらったものがわかりにくかったので、徹底的に直したものです。今のところこ
れがベスト。ヒマなことをやってるなあ。


『インセプション』‥‥‥今年のベストです、観落とさないように
『エグザム』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥満足のサスペンスミステリー
『氷雪の門』‥‥‥‥‥‥出来はよくないが、公開の意義はあった
『私の優しくない先輩』‥‥‥‥‥‥‥‥‥好感度抜群の映画です
『川の底からこんにちは』‥‥‥‥‥‥‥微妙に外した笑いが秀逸
『さんかく』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥人間の滑稽さが痛い
『アイアンマン2』‥‥‥スカ・ヨハの爆裂アクションだけで満足
『必死剣鳥刺し』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥正統派時代劇を堪能
『アデル ファラオと復活の秘薬』‥‥‥‥‥不発ぎみのコメディ
『プレデターズ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥B級映画の楽しさを満喫
『ローラーガールズ・ダイアリー』‥ツッコミ満載ながら楽しめる
『ねこタクシー』‥‥可愛いってだけの映画ではありませんでした
『孤高のメス』‥‥‥‥‥‥日本映画の水準の高さを実感する傑作
『シーサイドモーテル』‥‥‥‥‥もうちょっと騙してほしかった
『クレイジー・ハート』‥‥‥‥‥‥‥‥‥渋いおっさんの映画だ
『マイ・ブラザー』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥よき凡作といった感じ
『告白』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あと一押し足りないが、禁断の秀作
『だれのものでもないチェレ』‥‥30年たつと衝撃もやや薄れる
『パーマネント野ばら』‥‥‥傑作、今年の日本映画のベストワン
このあとは『ゾンビランド』に期待
 

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Contents
 ・『パーマネント野ばら』
 ・説明しすぎなタイトル
 ・新曲完成
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◎ 公開中の新作から……… 『パーマネント野ばら』  2010年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:吉田大八  原作:西原理恵子
 出演者:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、宇崎竜童、夏木マリ、江口洋介、本田博
太郎、山本浩司、ムロツヨシ、霧島れいか、畠山紬、佐々木りお、町野あかり、ミヤ
蝶美、嶺はるか 配給:ショウゲート

 「なんだか変」と思ったことが後半の転調への伏線につながってるとは気づかなか
った。それ以外に伏線らしい伏線はない。おまけに派手なミスディレクションを展開
してくれて惑わされる。だから前半は「ストーリーのない映画なんだ」と思いこんで
お気楽に観てました。

 原作を知らず、予告篇も見ず、内容に関しての予備知識はゼロ。「よさそう」とい
う感触だけで観ることに決めたのでした。西原理恵子が原作者と知ったのもつい最近
だったし。


 離婚して子連れで高知の実家に帰ってきたなおこ(菅野美穂)は、母親(夏木マリ)
がやってるパーマ屋さんを手伝う。かつて教わった高校教師(江口洋介)と密会を重
ねるが、まわりの誰もがそれを知ってることに彼女は気づいていない。

 僕が前半に感じた違和感は、ヒロインの顔は明らかに三十路なのに、しばしばしぐ
さがまるっきりの高校生になるということ。これ以上書くと後半の展開のネタばれに
つながってしまいます。

 後半は、岸壁へ執拗に寄せてくる波のように、なおこの深い悲しみ、切ない思いが
押し寄せてくる。外側から眺めてた自分が、いつしか映画の中に入り込んでしまい、
なおこの脇に立って、彼女を心配して見つめてるような気分になってしまった。


 菅野美穂を映像で見るのは初めてです。不思議な感触を漂わせていて、この映画の
空気感を絶妙にリードしている。彼女でなければならなかった配役でした。

 女優たちはベテランも中堅も見事で、個々には書きません。子役はヒロインの娘役
の畠山紬と、ヒロインの子供時代を演じた佐々木りお(『のんちゃんのり弁』ののん
ちゃん役)がともに存在感を見せて一人前の役者をしている。これは演出の吉田大八
(傑作『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の監督)の手腕だろうか。


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◎ これはとても興味津々、という映画
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『私の優しくない先輩』
 7月17日公開 2010年度作品  監督:山本寛  原作:日日日
   出演:川島海荷、金田哲、入江甚儀、児玉絹世、永野芽郁、小川菜摘、高田延
      彦、ほか
   配給:ファントム・フィルム

 予告篇を見るかぎりではこの映画がトップクラスの面白さです。ぶっとびまくって
ます。原作者の名前、なんと読むんでしょうねえ。



『ゾンビランド』
 ?月?日公開 2009年度作品  監督:ルーベン・フライシャー
   出演:ウディ・ハレルソン、アビゲイル・ブレスリン、ほか
   配給:日活

 アホアホなムードがたまらないゾンビ映画。頭カラッポにして映画観ましょう。



『ローラーガールズ・ダイアリー』
 ?月?日公開 2009年度作品  監督:ドリュー・バリモア
   出演:エレン・ペイジ、ドリュー・バリモア、ジュリエット・ルイス、ほか
   配給:ギャガ・コミュニケーションズ

 青春映画です。なぜかローラーゲームの映画はほとんど観ています。この映画はエ
レン・ペイジ(『ジュノ』)のとらえきれない不思議キャラが魅力です。


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◎ 映画雑話………   説明しすぎなタイトル
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 最初に『RAILWAYS』というタイトルが報じられたときは違和感がなかった。
タイトルは最終的に『[レイルウェイズ]RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった
男の物語』(配給:松竹)となった。タイトルが説明しすぎ。

 『きな子 見習い警察犬の物語』(配給:松竹)も公開前にタイトルが変わり、よ
り説明的になった。同じような例では2年前の『三本木農業高校、馬術部 盲目の馬
と少女の実話』(配給:東映)があった。ちなみに前半部分は「さんのうばじゅつぶ」
と読む。今年のではほかに『ナイン 9番目の奇妙な人形』(配給:ギャガ・コミュ
ニケーションズ)と『COACH コーチ [40歳のフィギュアスケーター]』(配給:
アステア)がある。

 宣伝で内容を浸透させられず、あるいは自信がなくて、サブタイトルをつけ足す。
こういうのはたいがい、自信のなさが観客に見抜かれる。とことん中身を説明しよう
とするタイトルは興業の足を引っ張るということを、配給会社は自覚すべきと思う。
ちなみに過去の例はいずれも成績不振でした。『レイルウェイズ』はどうでしょうか。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 midi音声作成ソフトでときどき既成曲の打ち込みなどをやってたのですが、こ
れって作曲も当然できる。ということで挑戦。

 軽快なジグを作ってたんですが、音楽を勉強したことがなく、作曲も習ったことが
ありません。ジグって何?というレヴェルなのですぐに行き詰まる。目先を変えて別
の曲に挑戦。出だしだけ作ってあった曲に足し込んで20小節40秒。その日のうち
にできあがりました。


「長岡京市の裏百景」6.1 「名神高速植物園」
「新曲のページ」5.31『フレックルズ Freckles』
「じべたでひろたもん」5.29「ゲージパンチ」
「長岡京市の裏百景」5.23 「勝竜寺森(水垂の森)」
「船越屋画廊」5.19『わたしの心はついてゆく』
「長岡京市の裏百景」5.13 「第2外環の柱脚」
「長岡京市立図書館の棚から」5.11 梨屋アリエ『ピアニッシシモ』
「長岡京市の裏百景」5.7 「バンビオ広場」
「船越屋新製品」4.25「骨なしくるりん傘」
「ホットライン御漫画」4.23「期限切れで地獄落ち?」

『パーマネント野ばら』‥‥‥傑作、今年の日本映画のベストワン
『息もできない』‥観客を選ぶ映画だが、個人的には今年のベスト
『ウルフマン』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥上出来の狼男映画
『ナイン 9番目の奇妙な人形』‥‥オリジナリティあふれる秀作
『書道ガールズ!!』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥感動!感動!絶賛!
『グリーン・ゾーン』‥‥‥‥‥‥緊迫感あふれるサスペンスです
『プレシャス』‥‥‥‥いいんだけど、もうちょっとビターな味を
『オーケストラ!』‥‥‥‥‥‥‥‥‥忘れ得ぬ秀作となりました
『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』‥‥‥‥B級映画一直線!
『武士道シックスティーン』‥‥俳優の本気度に引きずり込まれる
このあとは『川の底からこんにちは』に期待
 

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Contents
 ・『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』
 ・
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◎ 公開中の新作から……『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』2010年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:猪俣隆一
 出演者:成海璃子、山下リオ、高畑充希、小島藤子、桜庭ななみ、金子ノブアキ、
     宮崎美子、ほか
 配給:ワーナー・ブラザーズ  5月15日全国一斉公開

 『武士道シックスティーン』もだけど、成海璃子の女優としての成長と充実ぶりは
目を瞠るものがある。書の作品をすべて、ごまかしようもなく自分で書いてるのもお
そるべき。『武士道〜』ともども彼女の本物指向が鮮明でたのもしい。

 成海璃子は去年も意欲的で挑戦的だった。『罪とか罰とか』ではマネージャーにバ
シバシ頭をどつかれ続けるB級グラビアアイドル。未見だがC級ホラーの『山形スク
リーム』もあった。作品的にはあまり成功してなかったが、今年は作品に恵まれまし
た。


 『書道ガールズ!!』は興行的に成功してない。ストーリーは、和紙生産で知られ
る四国の町がさびれゆくのが許せず、地元高校の書道部が町おこしとして「書道パフ
ォーマンス甲子園大会」を企画し、成功させるというもの。ほとんど『フラガール』
です。実話を元にというのも同じ。細部のエピソードがいいので観てるときはかぶっ
てると感じないが、観る前には既視感があるかもしれない。

 ストレートに感動できて、これほど魅力あふれる映画はなかなか出てこないのに、
もったいないと思う。企画内容に対してのアプローチや売り方にあと一歩の工夫がほ
しかった。


 愛媛県の、近年に合併してできた四国中央市という、変な名前の市が舞台になって
いる。ちょっと気になったのは、共学の高校なのに男子の影が薄すぎること。書道部
の男子部員たちは女子の下働きばかりで全然目立たず、顔も記憶がない。部長も副部
長も当然のように女子。5人の女子部員がみな個性が全開で魅力的なのと対照的だ。
それが不満というわけではけっしてないのですが。


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◎ 映画雑話………  シネコンのミニシアター系映画
───────────────────────────────────────

 シネコンにかかるミニシアター系映画が増えてきてます。本数の増加もあるけど、
ミニシアターが減ってきて、やむなくシネコンに流れ込んでるというのが実情です。

 ミニシアター系映画というのは、アバウトに説明すると、全国一斉公開でない映画
のことです。映画には全国一斉拡大公開と、規模の小さい一斉公開(ミニチェーン公
開)、都市部から順次公開されるミニシアター、さらにそれより興行規模の小さい自
主上映とがあります。シネコンが上映するのはミニシアターまで。

 シネコンは、「拡大」もミニチェーンもミニシアターも一緒くたです。入りが悪け
れば一日の上映回数を減らし、すぐに打ち切る。動員力の弱いミニシアターが「拡大」
にくらべて入らないのは当り前。興業数字だけで一律に上映回数を削っていくやり方
には問題を感じる。

 シネコンがミニシアター映画を取り込むのなら、カラーに合わせて興業形態を変え
るべきだと思う。1スクリーンを100席以上と決めず、50や60席のスクリーン
を作るべきだ。そのコーナーは明確に一斉公開作品とは色分けすべき。エクセレント
とかディープとかプロファウンドでもなんでもよろしい。ちょっと違う映画とわかる
ように名づけて区分するんです。

 よく見かけるんだけど、明らかに間違えて超マイナーな映画を観てしまい、途中退
席する人がいます。そういうの、一時的には映画館の収益になっても、客離れを引き
起こすだけです。こういった提案はTOHOシネマズやMOVIXに出しておきます
けど、まあ無視されるだけでしょうね。


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◎ こういうのもよさそうかしら、という映画
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 個人的に去年は満島ひかりの年でした。今年は主演作が2本もあります。期待でき
るか?

『カケラ』
 5月29日京都公開 2010年度作品
   監督:安藤モモ子  原作:桜沢エリカ
   出演:満島ひかり、中村映里子、ほか
   配給:ピクチャーズデプト

 レズビアンもので、守備範囲外かなと思ったりする。満島ひかりが珍しく普通っぽ
い顔して出ている。


『川の底からこんにちは』
 ?月?日京都公開 2010年度作品
   監督:石井裕也  出演:満島ひかり、ほか
   配給:ユーロスペース、ぴあ

 このタイトルはあかんやろう。チラシのヴィジュアルは最悪。予告篇はゆるゆるで
素人っぽい。監督は知らない人。キャストの大半が無名。
 客を寄せつけないよう策を弄してるのかと思うほど。しかしなぜか魅かれるものが
ある。『カケラ』よりも観たい気分がある。


 前号で『パーマネント野ばら』を「原作:獄本野ばら」と書いてしまいました。西
原理恵子の間違いです。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 明後日、コンサートの本番。こんなので大丈夫なのかなという心許ない状態ですが、
まあなんとかなるんでしょう。

 それとは関係ないけど、今月27日、京都駅八条口のイオンモールに東映系の「T
・ジョイ京都」というシネコンがオープンする。現時点でまったく宣伝を見かけない
んですけど、大丈夫かね。ネーミングも悪いし、先行きが暗い。


「船越屋画廊」5.19『わたしの心はついてゆく』
「長岡京市の裏百景」5.13 「第2外環の柱脚」
「長岡京市立図書館の棚から」5.11 梨屋アリエ『ピアニッシシモ』
「長岡京市の裏百景」5.7 「バンビオ広場」
「船越屋新製品」4.25「骨なしくるりん傘」
「ホットライン御漫画」4.23「期限切れで地獄落ち?」
「船越屋画廊」4.17『a wandering flow』と『シンプルミニー』

『ナイン 9番目の奇妙な人形』‥‥オリジナリティあふれる秀作
『書道ガールズ!!』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥感動!感動!絶賛!
『グリーン・ゾーン』‥‥‥‥‥‥緊迫感あふれるサスペンスです
『プレシャス』‥‥‥‥いいんだけど、もうちょっとビターな味を
『オーケストラ!』‥‥‥‥‥‥‥‥‥忘れ得ぬ秀作となりました
『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』‥‥‥‥B級映画一直線!
『武士道シックスティーン』‥‥俳優の本気度に引きずり込まれる
『月に囚われた男』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥納得しにくい話
『ウディ・アレンの夢と犯罪』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥退屈した
『第9地区』‥‥‥‥CGであることを忘れてしまってのめり込み
『シャッターアイランド』‥‥‥‥気がついたとき、愕然となった
このあとは『息もできない』に期待
 

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No.┃      ┃   ┃ ┃不定期刊
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Contents
 ・『オーケストラ!』
 ・TOHOシネマズの「おもてなしの心」
 ・3月21日のパーティ
───────────────────────────────────────
◎ 公開中の新作から……… 『オーケストラ!』  2009年度作品
───────────────────────────────────────

 監督:ラデュ・ミヘイレアニュ
 出演者:アレクセイ・グシュコフ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン、
ミュウ=ミュウ
 配給:ギャガ・コミュニケーションズ  5月1日関西公開

 初日で1日の千円の日とはいえ、まさかの満席(席は確保)。次の回もほぼ満席。
監督も俳優も日本では無名に等しい。クラシック音楽家たちのドラマで大入りは予期
しなかった。いくら『のだめ』がヒットしたからといって、その影響だけってことは
ないでしょう。


 モスクワのボリショイオーケストラの事務所に届いたFAXを清掃人が失敬し、演
奏家たちをかき集めて偽楽団を作り、パリ公演を行うという話です。荒唐無稽。コメ
ディ味はあるものの、大まじめです。

 清掃人は元指揮者。演奏家たちの多くはかつて彼のもとで演奏した楽団員。とはい
え、干されていた30年の間、ほとんど演奏してない楽団員たちが名演奏を披露する
のはありえない。ありえないのにクライマックスの奇跡が納得してしまえる。コメデ
ィ色があるからか。そうではない。

 ラストのステージでの演奏の間に、なぜ彼らが無謀な公演を強行したのかが明らか
になる。30年前の、背後に隠れていた物語がカットバックで挿入される。ソロをつ
とめる若きフランス人女性のヴァイオリニストも含め、どうしてもやらなくてはいけ
なかった公演だった。

 楽団員の心と体にかつて死亡したヴァイオリニストの魂がよみがえる。一体となっ
てチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を奏でる。原題は "Le concert"。コンセー
ルはコンサートの意味もありますが、一致協力、共謀の意味でもあります。背景のド
ラマと音楽の圧倒的な力とがからみあい、茫然となったエンドだった。


 美貌のソロヴァイオリニスト役のメラニー・ロランは『イングロリアル・バスター
ズ』のヒロイン。監督のミヘイレアニュは『約束の旅路』も素晴らしいので、機会が
あれば、ぜひ。


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◎ これはなかなか観どころありかな、という映画
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『ナイン 9番目の奇妙な人形』
 5月8日全国公開 2009年度作品  監督:シェーン・アッカー
   声の出演:イライジャ・ウッド、ジェニファー・コネリー、クリストファー・
        プラマー、ジョン・C・ライリー
   配給:ギャガ・コミュニケーションズ

 オリジナリティあふれるCGアニメーションの新世界。似たり寄ったりのCGアニ
メがこれまで多かった中、意欲的な表現に興味津々。


『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』
 5月15日全国公開 2010年度作品  監督:猪俣隆一
   出演:成海璃子、山下リオ、桜庭ななみ、宮崎美子、金子ノブアキ、ほか
   配給:ワーナー

 同じ成海璃子主演で高校スポ根ものの『武士道シックスティーン』とかぶる印象。
『恋は五・七・五!全国高校生俳句甲子園大会』ともかぶる印象がある。二つを足し
て2で割ったような企画だ。実話を売りにしたクサさもあるが、内心では期待してい
る。


『パーマネント野ばら』
 5月22日全国公開 2010年度作品  監督:吉田大八  原作:獄本野ばら
   出演:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、ほか
   配給:ショウゲート

 監督・原作・キャスト。この組み合わせならとりあえずは観ておくべきではないか。
吉田監督は『クヒオ大佐』では評価を落としたが、『腑抜けども、悲しみの愛を見せ
ろ』の監督だ。期待半分、不安半分。


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◎ 映画雑話……… TOHOシネマズの「おもてなしの心」
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 TOHOシネマズへ行くと、お客様へ懸命におもてなしをやっていますよと、恥ず
かしげでもなく鷹の爪団のキャラで自画自賛の宣伝をやっている。ウラはあってもお
もてなし。サービスには顧客確保というウラがある。でも東宝さん、ほんとにサービ
スしてんの?

 サービスされて当然という気持ちがあるせいか、東宝さんには満足なサービスをし
てもらった記憶がない。14日の千円サービスは今年の8月に打ち切り。MOVIX
の20日千円サービスは期限を切ってません。

 サイトで先売りチケットは手間がかかりすぎて使いづらい。使い慣れてなくてまご
つくということもありますが、一枚買うのに何度も最初からやり直させられ、うんざ
りした。ページ内の案内ガイドが不適切なのが問題だと思う。ちなみにMOVIXの
先売りチケットはポイント割り増しですが、TOHOは割り増しありません。

 3月1日、朝日新聞朝刊の京都映画案内でTOHOシネマズ二条が消えてしまった。
他のTOHOシネマズはどうしてるのか確認してないけど、京都はほとんどの新聞で
一斉に掲載を止めた。

 経費節減でサービスを削減して、おもてなしをやっていますよと言われてもなあ。
TOHOでおもてなしを宣伝されて、サービス低下を連想させてしまうのは僕だけか
な?


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 4月はメルマガを発行できませんでした。個人的な都合とは関係なく、単に「ぜひ
とも紹介したい」映画に巡り合えなかっただけです。4月はだめだったけど、5月の
ラインナップはよさそうな気配です。


 3月21日のCINEMAテーブルパーティはいつものように賑やかに盛り上がり
ました。参加はまだ四回目ぐらいという方が三人おられますが、すでに古株然として
なじんでいるというのが面白い。

 意外にもアカデミー賞に関する話題がほとんど出なかった。「そんなのカンケーね
えよ」というわけでもないでしょうけど、アカデミー協会より自分の価値判断のほう
を信じてる、ということでしょうか。

 「後味悪」系を好む人がじわじわ増えてきているような気がします。映画ばっかり
観てると精神がいびつになりますよ。そういう僕自身がいつのまにか「後味悪」系に
染まってきてるのですが。

 映画館で観ない人が増えつつあることについても話題になりました。出掛けなくて
もきれいな映像で観られるという、怠惰を許せる環境があれば人が怠惰になっていく
のは避けられない。人がどんどん自室に閉じ籠もっていくようで、気になります。映
画を話題として、人と人とがじかに顔を合わせてコミュニケートできるコミュニティ
空間がもっとほしい。


「船越屋新製品」4.25「骨なしくるりん傘」
「ホットライン御漫画」4.23「期限切れで地獄落ち?」
「船越屋画廊」4.17『a wandering flow』と『シンプルミニー』
「長岡京市の裏百景」4.11 久我畷道(こがなわてみち)
「出版案内」3.22「ひょっこり通信」
「新編図解辞典 大誤解」3/18 新データ追加
「長岡京市の裏百景」3.15「マーラ プア mala pua」
「日本映画のデータベース」3.15 新規公開

『オーケストラ!』‥‥‥‥‥‥‥‥‥忘れ得ぬ秀作となりました
『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』‥‥‥‥B級映画一直線!
『武士道シックスティーン』‥‥俳優の本気度に引きずり込まれる
『月に囚われた男』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥納得しにくい話
『ウディ・アレンの夢と犯罪』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥退屈した
『第9地区』‥‥‥‥CGであることを忘れてしまってのめり込み
『シャッターアイランド』‥‥‥‥気がついたとき、愕然となった
『渇き』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥やや散漫な印象
『アイガー北壁』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥スリルたっぷりの絶壁映画
『シェルター』‥‥‥‥‥‥‥‥奇妙な味のあるサスペンスホラー
『プリンセスと魔法のキス』‥‥‥‥‥‥ディズニーアニメの復活
『フィリップ、きみを愛してる!』ハリケーン並みの暴走ぶりです
『時をかける少女』‥‥‥青春映画の傑作、切なくてたまりません
このあとは『息もできない』に期待
 

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Contents
 ・『時をかける少女』
 ・金計算ばかりが見える映画
 ・RCSの撤退
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◎ 公開中の新作から……… 『時をかける少女』  2010年度作品
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 監督:谷口正晃(長編映画初監督作)  原作:筒井康隆
 出演者:仲里依紗、安田成美、中尾明慶、石丸幹二、柄本時生、青木崇高
 配給:スタイルジャム

 発行が前号から一か月半も空いてしまいました。公演準備にエネルギーを取られた
せいもありましたが、是が非でもお勧めしたいというほどの映画がなかった。強いて
挙げると台湾映画『海角七号 君想う、国境の南』がよかった。書いてもよかった。


 仲里依紗は力強く走る姿がさまになるし、発声のしかたや目の表情演技も含め、表
現力が豊かだ。作中人物を生々しく伝える。あらためて大変な逸材だと思った。アニ
メ版ではヒロインの声をやったが、彼女は声だけでなく、全身で表現してほしい。

 仲里依紗が生々しく感じられるのは肉体的な存在感もあると思う。いるだけで、眼
前に存在していると確実に感じさせるものがある。その特性は次の出演作『ゼブラー
マン2』でも発揮されているはずだ。


 ストーリーに言及するのは意味ないので、さらっと。この映画では母親(安田成美)
の代わりに娘(仲里依紗)が過去へトリップする。ある人に伝言を届けるために。こ
の母親が、映画化第一作での原田知世にあたります。

 第一作では時間移動者と接触した人物は記憶が消されました。今回もそのルールが
適用される。第一作の大林監督はその部分を重視していなかったようで、あっさり描
くだけでした。新作ではそれが重要なキーになります。

 記憶が消えるということは、ある人に対する思いが消え、その人を見守ったプロセ
スが消え、その人がそれまで生きていたことすら記憶に残らないということになる。
「忘れてしまいたくない!」というヒロインの切実な心の叫びが胸を打つ。

 記憶の消えていくことの切なさを鮮烈に描いた映画を他に知りません。頭の中の記
憶は消えても、体の中に焼きついた「気持ち」が残る。記憶に残っていない、正体の
わからない悲しさ。その悲しみを思うと、涙が止まらなくなりました。


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◎ これは観ておこうよねっ、という映画
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 3月に入って立て続けに面白そうな映画が公開されて、忙しくなりました。6日に
『ハート・ロッカー』『バッド・ルーテナント』、13日は『花のあと』『時をかけ
る少女』。ほかにまだ観てないのがありますが、その4本は観る価値あります。


『息もできない』
 京都公開日未定 2010年度作品  監督:ヤン・イクチュン
   出演:ヤン・イクチュン、キム・コッピ
   配給:ビターズ・エンド、スターサンズ

 アジア映画は要注目です。香港・台湾・タイ・韓国・中国。イラン映画では『オフ
サイド・ガールズ』がすばらしかった。
 『息もできない』は監督も出演者も日本では無名で、美男美女も出てなくて、興行
的にはまったくだめでしょうけど、予告篇には強いインパクトを感じました。これは
外せません。



『台北に舞う雪』
 京都公開日未定 2009年度作品  監督:フォ・ジェンチィ
   出演:チェン・ボーリン、トン・ヤオ、トニー・ヤン、ほか
   配給:ゴー・シネマ

 監督は『山の郵便配達』の人。恋愛映画という以外にはよく知りません。台湾映画
というだけでそそられています。『海角七号』ほどの期待は持ってませんけど。


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◎ 映画雑話……… 金計算ばかりが見える映画
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 年間に劇場映画は700〜800本も公開されます。なんぼ観ても2割までなので、
厳しく選別することになります。当然、志の低い映画は、はねのけます。

 映画屋も商売ですからもうけるのはいいんですけど、これ見よがしに金をせびり取
ろうとする浅ましい映画には閉口します。

 マーケティングは大事です。それのみで中身のない映画は困りものです。これとこ
れとこれを合わせればナンボの客が取れる。ベストセラー原作か人気漫画、主演に人
気タレント、テレビ局とのタイアップ。日本の配給会社では東宝のやり方が最も露骨。
だからこそ、毎年断トツの営業成績を獲得してるのですけど。

 若者が映画館に来なくなった、中年・初老が多いとリサーチ結果が出たら、中年俳
優を並べてシニア向けを量産する。それらの予告篇を見ると、あざとい以上にみすぼ
らしくて、気持ちが冷える。作り手のやる気のなさまで見えてしまう。

 最近で最も情けないと感じたシニア限定予告篇は、『噂のモーガン夫妻』『恋する
ベーカリー』『50歳の恋愛白書』『新しい人生のはじめかた』。マーティン・ラン
ドーとエレン・バーステインの『やさしい嘘と贈り物』だけは例外的に好感度が高か
った。日本映画にはシニアターゲットのものは少ない。若者向けの「しょーもな映画」
はたくさんありますが。

 あからさまな商魂に対しては客の側も知恵を働かさなければいけません。つまらな
い映画に引っ掛かるとお金も時間ももったいない。映画館へ行き、お金を払うに足る
映画かどうかは慎重に吟味する必要があると、僕は思います。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 ローカルな話題です。今月、京都みなみ会館の番組マネジメントをしていたRCS
(ルネッサンス・シネマ・ステーション)が興業から撤退しました。今後は映画館の
自主編成で続けるとのこと。シネコンではない単一館はどこも厳しく、みなみ会館も
はたしていつまで続けられるか、不透明です。

 僕がスクリーンで観る映画の四分の一程度がみなみ会館でした。ゲリラ的なカラー
が好きで、入り浸ってました。1スクリーンしかないのにそこで年間30本ほども観
てたのです。

 近年は常にがらがらで、一回の上映で平均が15人ほど。赤字なのは歴然としてま
した。配給会社への支払いも滞ってたのではないでしょうか。もしそうなら、配給会
社は作品の提供を渋るようになったでしょう。見えないけど、内実は悲惨なものがあ
ったのではないか、と。

 残念だけど、観るほうとしては気持ちを切り替えていくしかありません。


「新編図解辞典 大誤解」3/18 新データ追加
「長岡京市の裏百景」3.15「マーラ プア mala pua」
「日本映画のデータベース」3.15 新規公開
「変神探訪」3.5 「小倉神社の十二支石像」
「長岡京市立図書館の棚から」3.3 ケン・グリムウッド『リプレイ』
「じべたでひろたもん」3.3「ホウレンソウ」
「長岡京市の裏百景」2.28「14センチ幅の自転車専用レーン」
「船越屋新製品」2.21『静電気ペーパーホルダー』
「長岡京市立図書館の棚から」2.14 フィリップ・マーゴリン『暗闇の囚人』

『時をかける少女』‥‥‥青春映画の傑作、切なくてたまりません
『花のあと』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥北川景子の風情は絶品
『バッド・ルーテナント』‥‥‥‥‥‥‥予期した以上によかった
『ハート・ロッカー』‥‥‥‥‥少しはドラマを入れてほしかった
『フローズン・リバー』‥‥‥‥‥‥‥‥意外と甘くて物足りない
『イエローキッド』‥‥‥インパクトあるインディペンデント映画
『ユキとニナ』‥‥‥‥‥‥‥‥日仏合作の奇妙な味わいが魅力的
『ゴールデンスランバー』‥‥‥‥‥‥‥‥サスペンス感たっぷり
『トルパン』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥主人公の青年に魅力なさすぎ
『海角七号 君想う、国境の南』‥‥‥傑作、台湾映画は侮れない
『ひとりで生きる』‥‥‥‥‥‥‥‥‥落差が大きすぎてがっかり
『動くな、死ね、甦れ!』‥‥‥‥‥‥‥‥再見、鳥肌ものの傑作
このあとは『ゼブラーマン2』に期待
 

   ┏━━━━━━┓┏━━━━━━┓
 極 ┃      ┃┃      ┃
 楽 ┃ ┏━━━━┛┃ ┏━━┓ ┃2010.2.6
 n ┃ ┗━━━━┓┗━┛  ┃ ┃
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 w ┗━━━━┓ ┃┃ ┏━━━━┛
 s      ┃ ┃┃ ┃
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No.┃      ┃┃      ┃不定期刊
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Contents
 ・『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』
 ・日本の脇役男優篇 北見敏之

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◎ 公開中の新作から……『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』2009年度作品
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 監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
 原作:スティーグ・ラーソン
 出演者:ノオミ・ラパス、ミカエル・ニクヴィスト
 配給:ギャガ

 スウェーデン社会の暗部を描いたミステリー。

 左翼系「ミレニアム」雑誌の記者、ミカエルは大企業グループの総裁から仕事を依
頼される。40年前に殺された女の子についての真相を究明してほしい、犯人を見つ
け出してほしい、と。すでに警察は投げ出している事件の真相に、ミカエルはじわじ
わと迫っていく。

 良質のミステリーです。頁を一枚ずつめくっていくわくわく感があります。この話
の面白いところは、アンバランスな対立関係にもある。大富豪と左翼ジャーナリスト。
仕事の依頼を知った同僚からは嫌みな視線を投げつけられてしまう。

 もう一つの対立関係は、ペアを組む若い女性ハッカー、リズベス。ミカエルが人権
派に属するのに対し、リズベスは時と次第によっては殺しもいとわない。『96時間』
のお父さんそっくりです。感覚のずれがほどよい緊張感をもたらしている。

 連続猟奇殺人犯に殺される十代の女の子という点で共通するピーター・ジャクソン
の秀作『ラブリー・ボーン』とは、大きくテイストが変わる。『ラ〜』は柔らかな空
気をまとったファンタジー。本作は優しくない現実感がざらついた肌を露出する。ち
なみにどちらも殺人シーンはスクリーンに出てこない。

 確実に面白いのに、入りが悪そうで、京都では1/30からTOHOシネマズで公
開され、2/12で打ち切り。玄人好みに感じられたのか、あるいはシリーズでない
新ネタに対する一般観客の感度が低すぎるのではないかとさえ思う。

 配給のギャガは続編をすでに買いつけてるみたいだけど、公開は厳しそう。ハリウ
ッドで早々とリメイクの予定で、そちらも日本公開はどうなることか。一般観客の食
いつきがあまりに悪いと、いい映画が公開されなくなるのではないかと心配する。


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◎ これは必見か、という映画
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『真幸くあらば』まさきくあらば
 3月?日京都公開 2010年度作品  監督:御徒町凧  原作:小嵐九八郎
   出演:尾野真千子、久保田将至
   配給:ティ・ジョイ

 タイトルは万葉集の有間皇子の歌からとられている。いいタイトルです。意味知り
ませんが。
 婚約者を殺した死刑囚を愛してしまう女。最近乗っている感じの尾野真千子を見る
だけでも価値ありそうな一篇。



『ハート・ロッカー』
 3月6日全国公開 2009年度作品  監督:キャスリン・ピグロー
   出演:ジェレミー・レナー、ガイピアース
   配給:ブロードメディア・スタジオ

 イラク戦争の爆弾処理班を描く社会派。これまで一貫して骨太な娯楽映画を撮って
きた監督が珍しいテーマに挑戦している。彼女の技量を思えば、米国での評価が高い
のは当然という気がする。



『時をかける少女』
 3月13日全国公開 2010年度作品  監督:谷口正晃  原作:筒井康隆
   出演:仲里依紗、安田成美
   配給:スタイルジャム

 何度も映画化されている原作。今回は実写版。
 仲里依紗はファンタジー向きの顔ではなさそうだが、原作に違った側面を与えてく
れるのでは、と期待する。



 問題作のリヴァイヴァル公開が相次ぐ。ヴィターリー・カネフスキーの特集がある。
ジャック・ロジエの特集がある。『だれのものでもないチェレ』が久しぶりに帰って
くる。
 カネフスキーは衝撃の『動くな、死ね、甦れ!』しか観てないが、これを機会に全
作品(といってもたったの3本)観ておこうと思う。『だれのものでもないチェレ』
は当然再見する。
 『愛のむきだし』など少数を除き、近年の映画には途方もないパワーが消滅してし
まったかのような印象がある。狭い映画の枠からはみ出すような映画も観ておかない
と、こっちまでちぢこまってしまいそう。


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◎ 映画雑話……… 日本の脇役男優篇 北見敏之
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 出るとやたら目立つ存在の中村靖日。いるだけで笑いのとれる上田耕一。個性が開
花してきた生瀬勝久。強面から笑いにシフトしてきた松重豊。若手で際立ってきた波
岡一喜。デカさで存在感たっぷりの菅田俊。挙げればほかにいくらでも魅力的な俳優
がいます。

 北見敏之という俳優をご存知でしょうか。名前を知らなくても顔を見りゃわかりま
す。よく見かけるおっさん俳優です。今は全体に丸みを帯びてきていますが、二十代
のころはひょろっと痩せた長身の俳優でした。軽薄そうで頼りなさそうで。現在まで
まだ役者をやってるということは予想できませんでした。今は味のあるいい役者にな
ってます。『アフタースクール』では悪役でやくざの親分をやりましたが、あまり似
合わなかったようです。少し軽みのある役柄のほうが合いそうです。

 北見敏之の最近の映画で、観たものだけ挙げてみます。『ブラック会社に勤めてる
んだが、もう俺は限界かもしれない』『アフタースクール』『歌謡曲だよ、人生は』
『トウキョウソナタ』『のんちゃんのり弁』『それでもボクはやってない』『コドモ
のコドモ』『ベルナのしっぽ』。

 『ブラック会社〜』で主人公の父親役をやってました。ややはかなげな印象がやは
り合っています。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 3月7日にコンサートをやります。詳細は下のURLからページを見てください。
ハーメルンというのが所属しているグループです。ちょっと前から署名欄に挙げてた
から、もうご覧になられたかもしれません。

 縦笛をやっています。始めてまだ一年にもならないわりには立派すぎるステージと
思いますが、精一杯やってみたいと思います。

 しかし演奏は難しいですね。ときには絶望的な気分になったりもする。

 3月21日にはCINEMAテーブルのパーティ。こっちは思いきりお気楽に発散
したい。


「里歩きMap」1.27「山科疎水道←小関峠→大津」
「長岡京市の裏百景」1.24「bicul(ビクル)」
「じべたでひろたもん」1.23「1本満足」
「長岡京市の裏百景」1.8「 開田の痕跡水路(旧西小路川)」
「極楽貧乏」1.8「ストリートミュージック」
「長岡京市の裏百景」1.1「テアトリーノ長岡京の仕掛け時計」
「船越屋新製品」12.19『コーンヴィークル』

『ボルト』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ちょっと感動(やはり犬バカ?)
『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』‥上質のミステリー映画
『オーシャンズ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥食欲をそそる
『オフサイド・ガールズ』イラン映画を見くびってはいけなかった
『誰がため』‥‥‥‥‥‥‥‥‥センスのいい演出に好感が持てる
『アサルトガールズ』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥袋小路の行き詰まり
『ラブリーボーン』‥‥映画全体を抱きしめたくなるほど愛らしい
『かいじゅうたちのいるところ』‥‥‥‥‥‥ほのぼの、ほんわか
『愛を読むひと』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥シビアな傑作
『人間失格』アニメ版‥‥‥‥‥‥‥‥身につまされるような気も
『アバター』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥映像たっぷり満足
『よなよなペンギン』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥観る価値なし
『釣りバカ日誌20ファイナル』‥‥‥‥‥‥‥‥お気楽に笑える
このあとは『ハート・ロッカー』に期待
 

   ┏━━━━━━┓┏━━━┓
 極 ┃      ┃┃   ┃
 楽 ┃ ┏━━━━┛┗┓  ┃2010.1.22
 n ┃ ┗━━━━┓ ┃  ┃
 e ┃      ┃ ┃  ┃
 w ┗━━━━┓ ┃ ┃  ┃
 s      ┃ ┃ ┃  ┃
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No.┃      ┃┃    ┃不定期刊
   ┗━━━━━━┛┗━━━━┛

Contents
 ・『ラブリーボーン』
 ・日本のリメイク映画
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◎ 公開中の新作から……… 『ラブリーボーン』  2009年度作品
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 監督:ピーター・ジャクソン  原作:アリス・シーボルド
 出演者:シアーシャ・ローナン、マーク・ウォールバーグ、レイチェル・ワイズ、
     スーザン・サランドン、スタンリー・トゥッチ
 配給:パラマウント

 公開は今月の29日。試写会のはがきをもらったのです。

 殺害された14歳の女の子が語るストーリー。天国へ行くことを拒絶し、事件のシ
ョックでばらばらになりかける家族をずっと見守り続ける。

 ファンタジーなんですけど、殺人者を追いつめるサスペンスでもあります。後半の
サスペンスは息詰まる。息苦しさを感じさせる。しかしこの映画、少女役のシアーシ
ャ・ローナンの柄によるのだと思うけど、全体としては温かで柔らかな愛の物語によ
うに感じられます。彼女のキャスティングが映画を成功に導いているように見える。
『つぐない』のときとは印象がまるで違ってるので、やはり地ではなく演技なのか。


 熾烈すぎる原作をかなりソフトに改変してるということを知ってから、今年前半最
大の期待がカクンと下がってしまいましたが、R15指定を避けたかったんでしょう
ね。たしかに凄惨なシーンを見事に外してしまっています。それで見劣りするような
作品になってないようだけど、原作も読んで比較してみたい。

 連続猟奇殺人者に殺された大勢の少女たちが天国の手前でとどまっています。「ブ
ルーの地平線」と呼んでたけど、まあ、三途の川ですね。そこへ全員が集結するシー
ンで、ジス・モータル・コイルのエリザベス・フレイザーが歌う美しい『ソング・ト
ゥ・サイレン』が流れる。すばらしい。感動します。

 タイトルの「ボーン」は「生まれる」じゃなく「骨」なので、そのうち未発見とな
っていた白骨死体が出てくるのかと息をつめて待っていましたが‥。あまり書くとネ
タバレになってしまいます。

 一つだけ、殺人者に対するけりのつけ方はかなり不満が残ります。そのあたりは観
る人によって意見は異なるとは思いますが。


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◎ 大当たりの予感ある映画、かな?
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 外国の大御所監督が続々登場しますが、わくわく感が皆無。バートン、ギリアム、
ソダーバーグ、イーストウッド、君たちは何をやっとるのだ。大御所ではない監督の
映画を一部紹介しましょう。


『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』
 1月16日東京公開(京都は30日) 2009年度作品
   監督:ニールス・アルデン・オプレヴ  原作:スティーグ・ラーソン
   出演:ノオミ・ラパス、ミカエル・ニクヴィスト
   配給:ギャガ

 スウェーデンのハードなサスペンスアクション。面白そうです。
 『ライラの冒険』の壊滅的な興行失敗で倒産するのかと思われたギャガは、今年も
意欲的な映画配給を続けています。要注目の3D人形アニメ『コララインとボタンの
魔女』もギャガ配給です。



『誰がため』
 1月23日京都公開 2008年度作品
   監督:オーレ・クリスチャン・マセン  配給:アルシネテラン
   出演:トゥーレ・リントハート、マッツ・ミケルソン

 こちらはデンマーク映画。ナチスに対するレジスタンス映画というより、演出セン
スのいいアクション映画のような印象があります。『カティンの森』を外してこちら
を観る、というのが僕の選択です。


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◎ 映画雑話……… 日本のリメイク映画
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 日本映画のリメイクは米国に較べて少ない。あちらに較べてまだ企画での柔軟性や
高い発想能力を持ってるということだと思う。

 少ないといってもけっこうあります。『BALLAD 名もなき恋のうた』『ゼロ
の焦点』『蟹工船』『椿三十郎』『サイドウェイズ』『島田洋七の佐賀のがばいばあ
ちゃん』『TAJOMARU』『ヘブンズ・ドア』『ヤッターマン』『劇場版カンナ
さん大成功です!』『隠し砦の三悪人』『櫻の園』『火垂るの墓』『ラスト・ブラッ
ド』『私は貝になりたい』『悲しき天使』『ATOM』『女殺油地獄』。ここ二三年
ほどの間に公開されたリメイク映画です。まだ何か忘れてるものがありそう。

 リメイクがだめ、ということはなく、企画をきっちり生かしてくれさえすれば、下
手な新作より面白くなるはずです。

 今年は『十三人の刺客』(監督:三池崇史、配給:東宝)が公開される。これはも
との話がいいので、きちんとリメイクすれば確実に面白くなる。監督とキャストを見
るかぎり、期待していいと思う。少々長いんだけど、オリジナルの『十三人の刺客』
(監督:工藤栄一、1963年)も面白いので、観れる機会があれば逃さないでください。

 ハリウッドでは『生きる』と『鴨川ホルモー』の企画があがっています。よしゃあ
いいのにね。


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 あとがきのかわりに、最近のことなど……… 
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 今回のキネマ旬報の映画ベストテンが決定しました。例年になく妥当なものが並ん
でて、驚いた。特に外国映画は文句のつけようがありません。その他には、差し替え
してでも入れるべき映画が見当たらないんです。

 外国映画だけ、ベストを挙げておきましょう。1.グラン・トリノ 2.母なる証
明 3.チェンジリング 4.チェイサー 5.レスラー 6.愛を読むひと 7.
アンナと過ごした4日間 8.戦場でワルツを 8.スラムドッグ$ミリオネア
10.イングロリアス・バスターズ 8位は同点で2作品.

 ついでに日本の映画も。1.ディア・ドクター 2.ヴィヨンの妻 桜桃とタンポ
ポ 3.剣岳 点の記 4.愛のむきだし 5.沈まぬ太陽 6.空気人形 7.ウ
ルトラミラクルラブストーリー 8.サマーウォーズ 9.誰も守ってくれない
10.風が強く吹いている

 日本のほうは6位以降に、ちょっとどうかなというのが混じり込んでいますけれど。


「長岡京市の裏百景」1.8「 開田の痕跡水路(旧西小路川)」
「極楽貧乏」1.8「ストリートミュージック」
「長岡京市の裏百景」1.1「テアトリーノ長岡京の仕掛け時計」
「船越屋新製品」12.19『コーンヴィークル』
「ボツ画供養塔」12.16『ギョエーッ』
「船越屋画廊」12.4 『蜘蛛の光』
「御漫画」12.1「事業仕分け?」
「出版案内」11.12 CINEMAテーブル2009発行
「里歩きMap」11.4『高瀬川界隈』

『ラブリーボーン』‥‥映画全体を抱きしめたくなるほど愛らしい
『かいじゅうたちのいるところ』‥‥‥‥‥‥ほのぼの、ほんわか
『愛を読むひと』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥シビアな傑作
『アバター』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥映像たっぷり満足
『よなよなペンギン』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥観る価値なし
『釣りバカ日誌20ファイナル』‥‥‥‥‥‥‥‥お気楽に笑える
『戦場でワルツを』‥‥‥‥‥‥‥‥‥戦場が遠いことを実感する
『カールじいさんの空飛ぶ家』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥犬になごむ
『ジュリー&ジュリア』‥‥‥‥‥‥‥‥まあまあ面白かったけど
『パブリック・エネミーズ』‥‥‥ラブストーリーだったのですね
『コネクテッド』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥香港映画人のパワーは健在
このあとは『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』に期待
 

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