怪しい人にご用心




怪しい人にご用心



 村上世彰や堀江貴文が逮捕されたとき、「ああ、やっぱりね」なんて思ったけど、何が「やっぱり」なのか、実はわかってない。彼らが悪行に手を染めていたことを見抜いてたわけではなかった。どうせロクでもない連中とは思ってたけど、単に要領よくもうけてるやつらを妬んでただけかもしれない。

 村上逮捕を新聞で読んでいて、まるで罪悪感を持ってなさそうな彼の言い種が気になった。テレビのニュースを見た。村上の言葉にはひっかかるものがあった。自分はまっとうな人間であり、正しいことをしていると信じきっているかのような言い種だ。そんなはずはない。法を犯したことを知ってるはずだ。その事実を意識の上からきれいさっぱり削り取ったかのような顔をしている。

 たぶん表の意識と裏の意識を使い分けて、それが習い性になってしまってるんでしょう。陰の意識が犯罪的行動を起こしても、表の意識はそ知らぬ顔をしている。そういうことはある。うるわしい部分のみを自分の本性と信じ込んでいたい。そんな気持ちは誰しもあるんじゃないですか。

 彼に誇大妄想の気はある。自分の狭い得意ジャンルのみを基準にして人の価値を計り、自分をすぐれた人間と思いたがる。自分以外はみんなバカと思いたがる。そういう尊大な意識が透けて見えないかなと映像を凝視したが、そこまであからさまには見せてくれなかった。

 一般的に、誇大妄想と虚言症は連動する。嘘をつく人にとって、嘘部分は願望であり、真実であると思いたがっている部分。犯罪行為・ハレンチ行為など、現実に起きてしまった都合の悪い部分、恥ずかしい部分に対しては目をふさぐ。村上がそうだと言いきる自信はありませんが。


 アラン&バーバラ・ビーズの『本音は顔に書いてある』(主婦の友社)には、「嘘笑いと本当の笑いは、目じりにしわが寄ってるかどうかで判別できる」と書いてあったが、それは西洋人のはなし。空気も読めない鈍い西洋人と違い、日本人を含む東洋人の感覚は繊細です。本音を覆い隠すことに関しては実に巧妙。日本人はなかなか、いかにもなうさんくさい顔をしてくれません。そのことを村上が体現してくれたような気がする。

 うさんくさい人間やイカモノ人間に対しては、もうちょっと嗅覚を鍛えなきゃなりませんね。イカモノ人間というのは、言ってることと中身が一致しない人間。嘘を全身に塗りこめ、まといつかせ、自分の嘘すら見抜けなくなった人間。そういうのは遠い世界の人ばかりではありません。身近な、普通の顔した人たちの中にいっぱいいます。

 大口たたくばかりで何もしようとしない小心者。意見はすべてメディアの受け売りの空っぽ人間。裏と表を使い分けすぎて自分をなくした八方美人。自分に対して嘘をつく人間。そうした人たちが含まれます。怪しげで不自然な笑みを浮かべる人の真意はなかなか読み取れないけど、不自然だということを嗅ぎ分けられれば、とりあえずは充分でしょう。イカモノたちとの適度な関わり方を会得しておけば、少なくとも不愉快な思いをすることは減ります。


 人のちょっとひっかかる言動。その部分を心に留め置くことは大事なことだと思う。相手が知人の場合には、よりよく理解するための手助けになるだろう。他人の場合は相手の意図の在りかを探る手助けになるだろう。ひっかかることを頭の中でスルーしてしまわないで、ちょっと考えてみましょうよ。新たに何かが見えるかもしれませんよ。意味とか背景心理とか。

 たとえば、喋るときに両手を動かし続ける人がいます。喋る内容と手の動きは無関係です。言葉だけで伝えきることに自信を持っていないから、補助的な動作が必要だという心理的圧迫によって動かされています。

 商売上での過剰な笑顔は、営業内容に対する自信のなさの表れのように見えます。それは信頼感を損うだけ。(嘘でも)真顔できっぱり言いきったほうが信頼されると思うんだけど、どうしても引け目が出るんでしょう。僕は営業スマイルを一切信用しません。営業の側が顧客である僕を観察してるのと同様、僕も営業を観察します。不利益をこうむりたくはありませんから。

 職場などでのおあいそ笑いというものも気になる。あれは人間関係を円滑にするため、時には必要なんだろうか。個人的な感覚から言えば、なくて差し支えない。というより、ないほうが快適だ。ああいうのは、僕にとっては不愉快ですらある。

 不自然なおあいそ笑いは後ろ暗さや鬱屈した思い、あるいは口に出しては言えない底意を感じさせる。笑顔過多の営業と同様、不信感をあおり、見ていて気持ちが悪い。これは個人的な感覚なので、不正直な笑顔が気持ちいいと感じる人は当然いると思う。


 「ちょっと変」「なんか、おかしい」感覚を研ぎ澄まして、ニセモノ・イカモノを嗅ぎ分けることは、生きていくうえで必要。直感としての「うさんくさい」は、大切にしなきゃね。

ひょっこり通信 2006.9.10




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